3/7 時間の贅沢こそが一番の贅沢『阿修羅ガール』『デザインの教科書』『狭小邸宅』『夏と花火と私の死体』『包帯クラブ』感想<九州一周旅行 2日目 フェリー生活>
ごはん
朝食 カップラーメン
昼食 ひれかつ丼
8:30起床。
5時くらいには起きていたが二度寝。
朝食何食べようか悩んだが、あんまりお腹が空いていなかったことやカップヌードルか130円と安かったのでとりあえずそれにした。
島が見える。電波ふつうに通じて笑う。いや便利なんだけど。拍子抜け感がすごい。
『デザインの教科書』読了。それなりに面白かったけど眠かった。
『狭小邸宅』読了。短くアッサリと読めて面白かった。
12時くらいになったので昼飯を食べる。自販機飯しかないけどバラエティに溢れているので楽しい。ヒレカツ丼にした。普通に美味しく野菜も食べられたので良かった。
上げ底。企業努力の賜だ。おのれ資本主義め。
ご飯食べたら眠くなってきたが、あいもかわらずやることはないので本を読む。
『夏と花火と私の死体』読了。ちょうどフェリーは徳島県に到着。周囲が賑やかになっていく。
眠いので昼寝をすることにした。起きたら17:30ちょっと寝すぎたかも。ご飯と風呂どちらを先にするか悩んだけど、風呂に入ることにした。酒飲んでから風呂に入るのはちょっと怖い。
お風呂に入るとまだ陽は落ちておらず、ちょうど夕陽が海に沈むところだった。それを眺めながらゆっくり湯船に浸かる。最高か?
お風呂上がり、おなかが空いたのでトマトリゾットを購入。思ったよりも一回り小さい。レンチンしている間にプレモルを買う。海を眺めながら飲むビールは最高。
トマトリゾットを火傷しないように冷ましながら食べる。量が少なかったので何か買おうか悩む。焼き鳥が食べたかったが宮崎県の焼き鳥らしく4本900円とかなり強気の値段で船上価格と言えども少し躊躇う値段だった。でも食べたかったので買った、後で悔やむよりは良い。高いだけあって焼き鳥はかなり美味しかった。もう1セット買おうか悩むくらい。
焼き鳥を食べつつ、本を読んで、たまに海を眺めてビールを飲む。このサイクルを繰り返していた。贅沢だ。
『包帯クラブ』読了。もっと早く読んどけば良かったと後悔。9時過ぎからみんなベッドに入ったのか、ラウンジが静かになる。そろそろ寝るか。寝れるか知らんが。明日5時起きだし。
本読んだ
『阿修羅ガール』
舞城王太郎らしいジェットコースターのような文章。読んでない人に説明すると『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』で有名な森見登美彦の文章から理屈と理性を取り払って代わりに荒々しい野性を詰め込んだ感じかもしれない。
ホルモン焼き食べながら読んでたけどセックスとかバラバラ死体の話とかあってホルモン焼きと全く合わない。
全三部構成だけど第一部は素晴らしかったけど第二部からちょっと合わなかった。読んでて苦痛になるだろうと思ったので流し読みした。第一部だけなら非常に面白かった。
第一部は主人公である女子高生アイコの思春期らしい感性のもと、ジェットコースターのように急降下したと思ったらグルグル回って振り回される文体は凄まじい。よくこんなものを書けると思う。
女子高生特有の感性の軽さやピュアな想いだったりを描写したのと同時に調布でアルマゲドンが始まったり同級生は誘拐されて足の指送られたりしているカオスさを書けるのはすごい。
一部と三部はそれなりに面白かったけど二部はちょっとついていけませんでした。酔ってたのもあって目が滑ること滑ること。
『デザインの教科書』
んー面白かったけど、ちょっと読んでて眠くなってきた。中学受験の説明文って感じの内容と書き方。面白いんだけどずっと読んでると辛い。
あとは自分があまりデザインを生み出さない人間というのもある。デザインを生み出す側よりデザインを受け入れる側。デザインにこだわった経験といえばパワーポイントのスライドくらい。
たまにプレゼンでパワポに長文貼り付けてそのまま読むマンいるけどパワポの意味ないよね。ノート機能をご存知? そういうデザインは気になるのでパワポに関してはある程度の関心があるとは思う。
面白かったところ
近代以前の社会において、デザインは複雑な社会的制度(階級や職業など)と結びついており、様々な禁制が敷かれていた。このことにより社会の秩序、システムが保たれていた。なので、日用品のデザインの変化は機能や装飾、技術や生産性の変化を示しているだけではなく、社会のシステムの変化、そして人々の感覚や思考の変容を示している
「探偵小説」において、室内とそこに集められた日用品や家具は、人物を暗示する遺留品である。遺留品は、したがって所有者の自己表象となる。
→ちょっと前に本棚にある本でその人の感性が顕になるって書いた記憶あるけど同じことだよね。
『狭小邸宅』
かなり面白かった。
不動産営業ってめちゃくちゃ大変ですよね。オープンハウスのお話見てると絶対この業界だけは行かない、そう思った。
180ページとかなり短いしサクッと読めて面白いのでオススメです。
はえ〜となった小ネタ↓
新宿や渋谷などの繁華街で大きな看板を前後にぶら下げて宣伝する人をサンドイッチマンという。
20坪前後の狭い土地に建てられる狭小住宅のことをペンシルハウスと言う。容積を最大化するために建物は3階建て、日照権の関係で多くは屋根が鋭角に切れ込んでいる。
→コレまんま自宅で笑った。
営業マンが一件でも多く電話をかけるために、あるいは、気持ちが折れて電話をかけることから逃げないように、受話器と手をガムテープで巻きつける。
暴力的で人格否定などの暴言を吐いてきた上司が異動する主人公に対して、最後だけ労いの言葉をかけるのがめっちゃリアルで好き。最後まで暴力的じゃなくて、最後の言葉で今までの仕打ちが清算してしまう気がするのがいやらしくて好き。
『夏と花火と私の死体』
面白かった。話が語られる視点が死体となった‘わたし’というのが斬新で面白かった。夏、花火、田園風景、夏を彩る様々なものの中に私の死体が混じっている気持ち悪さが良かった。
作者は本作を16歳のときに書いたらしい、バケモノか?
『包帯クラブ』
もっと早く読んでいれば感想は変わったかもしれない。中高生のときに読んでおくべきだった。そもそもこの本を手に取った理由は昔、中学二年生のときだったとき、4個上の先輩がこの本を題材とした読書感想文を書いていたのが記憶に残っていたから。
気持ちが沈むようなことや納得いかないこと、もやもやとした、言葉にできない感情や気持ちに、包帯を巻くことで、「傷」という名前をつけられる。傷だから痛いしへこむのは誰でも当たり前で、でも傷だからこそ手当てをしたらいつかは治る。そうすることで、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした。
こういう思春期らしい行動って瑞々しくて良いですね。ちゃんと考えて自分なりに包帯を巻くという行為や登場人物の行動、心情を解釈すればそれなりの読書感想文が書けそう。読書感想文の課題本の1つになることもうなづける。
この本を読んで、自分が包帯を巻きたいと思うところはどこかな? と考えたけどパッとは思いつかなかった。どうせなら全身グルグル巻きにして欲しいかもしれない。そういえば文化祭のときに包帯じゃないけどトイレットペーパーでグルグル巻きにされた覚えがある。
でもやはり、中高生の頃に読んでおくべきだった本という気持ちが拭えない。「そんなことはない、いつだって始めるに遅いことはない」と知った風なことを思う気持ちは自分の中にあることは確かなんだけど、やはりその年頃にしか伝わらない、その年頃だったからこそ印象となる衝撃を受ける本っていうのは確かにあるはず。