2/22 『私が大好きな小説家を殺すまで』感想 / 『東京喰種:re』に「頼むから死んでくれ」と思っていた

ごはん

朝食 ラーメン

昼食 チャーハン

夕食 油そば

 

 体に悪いものしか食べていないのでは?

今日が最後のアルバイトだった。それに関してはまとめて明日書くつもり。(アルバイトの)退職エントリが書けるぞ!

 

本読んだ(ネタバレはない)

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

 

 読んだのはコレ。何冊目かわからん。

 

あらすじ

突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった少女の存在があった。
遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遥川が小説を書けなくなったことで事態は一変する。梓は遥川を救う為に彼のゴーストライターになることを決意するが――。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女、そして迎える衝撃のラスト! なぜ梓は最愛の小説家を殺さなければならなかったのか?

どうでもいいけど「衝撃のラスト!」に惹かれて買う人いるの? あらすじを書く側からしたらそう書くとまとまりがよくて楽なんだろうけどさ。

 

最初の一文が好き

自分が小説を買うときのきっかけはだいたい

  1. 人が面白かったと言っていた
  2. Amazonでやたら安くなっている
  3. あらすじや最初をパッと読んで良かった

これが複数重なったときだけ重い腰を上げて買うことにしている、そうじゃないとどんどん積読が溜まるので。

 

けど、この小説は最初の一文を読んでだけで買うことにした。

『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。だから私は、遥川悠真に死んで欲しかった』

好き。

 

 

最初の一文が好きな作品は他にもあるけどパッと思いつくのは、

完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。 『風の歌を聴け

 二階から春が落ちてきた 『重力ピエロ』

 あとは文章をコピペしようと検索して出てきたサイトから思い出したのが

人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない。なぜなら人間には記憶という能力があり、否が応にも記憶とともに現在を生きているからである 『パイロットフィッシュ』

この物語はきみが読んできた全ての物語の続篇だ。 『ハル、ハル、ハル』

 どの作品も好き。本作もそうだけど最初の一文が作品の重要なテーマを表しているのがとても良い。

 

『東京喰種』“は”面白かった

本作で少女の憧れの相手である遥川悠真がスランプにより才能を失い落ちぶれてしまうことが物語の発端なんだけど。

「憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまった」ということは僕の周りの人物や作品でなかった。(そもそも憧れの対象がいない)

 

強いて上げるなら『東京喰種:re』と石田スイ先生がそうだったかもしれない。

『東京喰種』自体は金木の覚醒辺り7巻くらい?から読んでいたと思う。

読むきっかけは、作者の石田スイ先生がウェブ漫画で描いていた『THE PENISMAN』とう漫画があって、ウェブ漫画のなかでは『ワンパンマン』と並ぶくらい好きだった。

 

『THE PENISMAN』は長い間更新が止まっていて、「もう読めないのか……」と残念がっていたんだけど、『東京喰種』の作者は『THE PENISMAN』の作者ということを知ってめちゃくちゃ喜んだ記憶がある。『THE PENISMAN』のヒロインが喰種っぽい能力をもっていたし所々面影があった。(なお残念ながら『THE PENISMAN』は消されている)

 

『東京喰種』自体は、人間と喰種との血で血を洗う激しい対立を、人間と喰種の中間の存在である主人公が人間の理性と喰種の本能とで葛藤しながらも、この対立をなんとかできないのか必死にあがく物語で非常に好きだった。バトルはなにが起きてんのかよくわからないシーン多かったけども。

 

東京喰種:re』に「頼むから死んでくれ」と思っていた

で『東京喰種』は主人公の死で終わり続編となる『東京喰種:re』が始まった。主人公は記憶を失くし喰種の対立組織に入り、かつての仲間と戦ったり、かつての強敵が先輩になったりすることになる。この展開自体は面白かったし序盤は普通に楽しめていた。西尾先輩が強者として出てきたときはテンション上がったし。

 

なにが駄目だったかパッと思いつく限り書いてみると。登場人物が多すぎた。場面転換がコロコロ変わって流れが分かりづらくなった。クリフハンガーを多用しすぎて「致命傷っぽい奇襲を受ける」⇒「でも大丈夫でした」みたいなことが多すぎた。あとバトルが更になにが起きてんのかわからないシーンが増えた。「死んだと思ったら生きてた」が多すぎた。

 

最初のころは発売日に買っていたけど次第に惰性で買うようになり12巻を最後に買わなくなった。最終巻が16巻だから残り4巻なのだけどよっぽどお金が余ってない限り買わないだろうし読んだところで失望が更に深まるばかりだと思う。

 

どんどん失速していくのを見て悲しくなったし、最終的には「早く死んでくれ、終わってくれ」と思うようになった。『東京喰種』は好きな作品なのだけど、その続きとして『東京喰種:re』が存在しそれが落ちぶれながらも未だに醜態を晒し続けているという事実が好きな作品である『東京喰種』すらも汚すようだったから。

東京喰種:re』をなかったことにしようにも、『東京喰種』は主人公の死で一旦ぶつ切りの状態で完結してしまっていることから単体の作品として見づらいというのもあった。

 

非常に残念としか言いようがなかった。

憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着ならば、石田スイ先生には敬愛していたと言えるのかもしれない。

 

ちょっと調べたら石田スイ先生も心身ともにボロボロになりながら連載していたらしい。週刊連載は漫画に生活を捧げなければできないだろうし締切に追われながら想像もできないほど苦しんで描いていたのだと思う。それを加味しても『東京喰種:re』の評価が上がるわけでもないんだけど。

 

もし次回作があるのならば、ぜひ買いたい。『東京喰種』と『THE PENISMAN』は好きな作品なので。

 

 

違う作品のレビューになってしまった。元に戻る。

 

共犯者という関係って好きなんですよね。人との関係を強固にする手法のひとつとして秘密の共有があると思うんですけど、ゴーストライターという誰にも言えない、言ってはいけないレベルの秘密を共有することってこれ以上ないくらい密接な関係なんじゃないかなと。それこそ血よりも濃い水なのでは。少女と母親との関係は歪なものだったし。あとは似たような関係で共依存も好き。どちらも自分がなりたくはないけど。

 

 

他人を救うこと、距離を詰めることの責任

なんかしらの形で他人を救ったことってありますか? 僕はないです。逆に救われたこともないです。救いのない人生ですね。

西尾維新じゃないですけど、人は勝手に救われるだけで、誰かを救おうとするなんて傲慢なんじゃない? 「わたしはコイツを救ってあげた」という思い込みだったり。

 

実際に救ってあげたとして、一時的には救われたとしても時が経つにつれて状況が悪化して救う以前よりも悪い状態になってしまうこともあるだろうし、そうしたら救った責任を取らないといけなくなるよね。たとえ悪い状態にならなくても救おうとしたからには責任を取らないといけない。そういった救済の責任の物語でした。

 

現実でもそこまで責任を持てないような相手に手厳しい言葉で深く突っ込まないのと同じ。どうでもいい相手に対して伝えてあげたほうがその人の為になるだろうけど、言ったあとの責任は獲れないので言わないで適当に受け流すのと同じ。距離感って大切ですね。

 

僕的には3億円くらい頂けたら救われるのでどなたかいらっしゃいませんか。

 

 リアルが充実している人は小説を書こうと思わない

 小説を書くのってめちゃくちゃ大変なことじゃないですか。自分の身を切って売るようなものだし。長い間向き合って書いた作品は自分の分身みたいなもので、それが好評なら嬉しくて嬉しくて仕方ないだろうけど酷評の嵐だったら深く深く傷つくと思うんすよね。

 

本作でも書けなくなってしまったのは作品の傾向を変えてみたことによる酷評が原因だったし、小説家って不器用で繊細な傾向にある気がする。文豪は大体自殺のイメージ。そもそも現実になんかしらの不満を持っていなければ小説なんて書かないでしょ。「日々の生活が楽しくて楽しくて仕方がない!」みたいな人は小説を書こうとも思わないに違いない。自伝とかは除いて。

 

本作を読んでやっぱり作品を生み出す人って大変なんだなと思った。本作に出てくる登場人物みたいに作品によって救われる人もいれば作品によって殺される人もいるだろうし。感受性高い人は大変そう。感受性貧者でよかった~

 

 

まとめ

読書感想文なんかそうだけど小説の感想を書くときってネタバレを避けて通れないところがある。でもできるだけネタバレをしないように書きたいから頑張って書いていたら『東京喰種』の感想になっていたし方向性がバラバラだったりする結果になってしまった。次回はもう少しポイントを絞って書きたい。

 

実用書はネタバレも何もないから書きやすかったけど小説はここまで書きづらいとは思わなかった。Amazonのレビューを参考にしてパクってくれば楽にそれっぽく書けるんだろうけど、それをするとアホになるのでしない。

 

 まとめると

小説を書くことでしか世界と繋がれなかった小説家と虐待を受けたせいで星空すら見たことのない少女の歪な関係が好きだった。不器用な人間である2人の関係が次第に共依存や共犯者、信仰被信仰、愛憎関係などの様々な感情が入り混じった名状しがたいものへと変化していくのが面白かった。

 

 最初の一文に惹かれた人や三秋縋の作品が好きな人は読んだほうが良い作品だと思う。なんだかんだで長文を書いてしまうくらいには面白かったです。